会長の時間
会長 : 白沢 啓
〈 足るを知る 〉
皆様こんにちは。私の卓話も今回を入れて実質2回ほどとなりました。
当初はロータリー関連の話題をお話していましたが、次第に社会問題等身の回りの話題が多くなりました。
思えばあっという間の1年間でしたが、その中の出来事を1ページ1ページ綴って行くことができたようです。
さて、5月29日の読売新聞「経済の現場2016」に載っていた記事をご紹介いたします。日本チェーンストア協会会長の清水信次さん(90)のお話しです。
「日本は国家百年の計、グランドデザインがないことが問題だ。世界と日本の実情を鑑みて人口や食料、教育、経済、国民の生活レベルなどについて、国家としての適正規模を描く必要がある。実現のための工程表は世界一優秀な霞ヶ関の官僚がつくる。グランドデザインなしにただ「成長、成長」といってもうまくいかない。企業も成長だけを追い続けて破綻した例は多い。ダイエーややおはん、最近では東芝の不適正会計や三菱自動車の燃費偽装事件がそうだ。これは無理に成長を目指した結果だ。」
そうです、「足を知る」ということは私たちの身近な経済社会でも的を射た概念であり、実力以上に体質を膨満させようとすれば、きっとその先には食い違いが生じて、物事は破綻するということなのでしょう。国家も「なんでもかんでも」という着想から膨大な借金経営状態にあり、このままでは「負債」は1,200兆円に達しいずれ「債務超過」は現実のものになるということでしょうか。そうなれば、国債などの価格は下落し、国の格付けも数段低下し、国民にとって非常に深刻な状態になると、専門家の専らの意見が聞かれます。
最近、近くの金融機関の人がしきりに外国の国債を買いなさいと勧めてきます。まあ、半分は営業なのでしょうが、情報通のそういった分野の人たちの間では近いうちに国が衰亡すると言うことは既成事実になりつつあるようです。あるロータリーの会合の世間話でも、隣の人同士が
「オリンピックを潮目にそうとうまずい状態になるのでは」と囁きあっていました。
日本はすでに最高の景気・経済を経験しています。建国以来国民の生活水準がこんなに高かったことはないのですが、成熟国家なのにいまだに「成長、成長」と言っていると、清水氏のお話は締めくくられています。
ロータリークラブの「発展」とはいったいなんなのでしょうか。会員の増加は最も重要な要件だと思いますが、そこにつどう会員の心の持ちようや、将来を語れる場があることも実は非常に大きな要素と考えます。25周年事業をこの秋に控え、更なる飛躍を期待して今日の卓話といたします。