花屋の仕事part2
花卉の消費拡大に向けて
皆さんは、花卉という言葉をきいたことがありますか。
花卉とは、鑑賞用に供される(提供)植物と定義されていますが、具体的には切り花、鉢もの、庭木類、球根類、花壇用苗もの、芝類、地被植物類の事を言います。地被植物とは地表面を密に覆い、美しい姿をみせるコケとか草類の事を言います。この日本の花卉産業ですが、現在縮小傾向であります。生産側の産出額では平成10年の約6,300億円をピークに、平成26年では約3,700億円まで減少し続けている現状です。また1世帯当たりの生花年間購入金額でも平成14年が11,540円だったのに対し、平成28年では9,317円まで減少しています。現在、我が国にとって花卉産業は、小売業だけではなく、農地や農業の担い手の確保を図る上でも重要な位置を占めています。しかしながら輸入切花などの増加により、その国際競争力の強化は緊要な課題となっています。
「花の購買に関する意識」について、インターネット上でアンケートを実施したところ(回答者1,744名)、過去一年において「花(切り花)を購入しなかった」とする回答者は全体の約4割でありました。花を購入しなかった理由として、「必要性・習慣がない」が挙げられています。
しかしこれらの人々は潜在的な顧客として捉えることができないかと感じています。お花に関する伝統と文化は、国民の生活に深く浸透し、国民の心豊かな生活の実現に重要な役割を担っていると思っているからです。年間の花き、特に切り花の消費シーンを上げてみますと、花屋の一大イベントである母の日をはじめ父の日、敬老の日、3~4月の卒業、入学、歓送迎シーズンの贈答などの用途を含め、桃の節句や端午の節句、ハロウィンやクリスマスといった季節のイベント時の装飾の用途、またお盆やお彼岸といったお墓参り需要も年に何度かあります。その他にも誕生日や結婚記念日のお祝いや、葬儀需要、いけばなのお稽古やフラワーアレンジメント教室などを含めると、年間を通して購入の機会はあるように思います。現在、花きの需要を喚起するための様々な新しい取組みが業界で行われています。代表的なものを上げてみますと、このように様々な取組みが行われています
が、知らないという人も多いと思います。まだまだ定着には至っていない現状です。
花き産業の低迷の中、圧倒的な成功を収めているビジネスモデルが青山フラワーマーケットであります。皆さんも名前を聞いた事があると思いますが、主に駅ナカ・駅チカに出店し、2000年には14店舗だった店舗数も直近では100店舗近くまで店舗数を増やしています。商品回転率を上げ、ロス率を下げることによって、販売価格は一般的な生花店の半額、もしくはそれ以下の低価格を実現しています。カジュアルフラワーにテーマを絞った品揃えは、花きの消費を「高額な贈答用から家庭用」へと変化させていったように思います。普通生花店では必ず品揃えしている、お墓参り用や仏壇への供花などに使用される和菊、1万円を超す高額商品の胡蝶蘭(鉢)はあえて販売せず、あくまでカジュアルフラワーに特化しています。お客様自ら商品を選び、レジに持っていくセミセルフサービス方式が採用されているほか、ワンコインで買える自宅用のミニブーケの販売や、作り置きギフト用ブーケを品揃えすることによってお客さまに選ぶ楽しさを提供しています。
現在、花卉を扱う専門店(いわゆる花屋)は全国で20,000店舗以上あると言われています。今後花卉業界を再興していくためには、このような新たなビジネスモデルの構築や、花屋のブランディングを当店も新たに考え、実施しなくてはならないと思う今日この頃ですが、しかし現実には秋田という地方環境であったり、お花に費やす金銭的な余裕がない、購入する必要がないと考えている人が多く、特に若年層の花き離れは深刻で、消費の拡大はますます難しくなっています。本来花卉には癒しの効果があり、花卉を購入することや愛でることによるQOL(クオリティオブライフ)生活の向上にお花は欠かせないものだと思います。家庭で花を飾ることが生活の一部になるように今後も様々な提案を続けていきたいと思っています。
【フラワーバレンタイン】 |
2011年、「日本でも、欧米その他の世界各国同様、バレンタインデーに男性から女性に花を贈る習慣を作ろう」というコンセプトのもと、日本の花業界から発生した推進運動 |
【花育】 |
幼児・児童が教育の現場や地域で花や緑に触れる機会を作り、やさしさや楽しさを感じる気持ちを育む取組み |
【フラワービズ
/フラワーフライデイ】 |
オフィスや休日にリラックス効果のあるお花やグリーンを取り入れようという取組み |
【エディブルフラワー】 |
植物の花を食材として用いること。また、食用に供せられる花のこと(流通上は食品に分類されている) |