ロータリークラブ連合会の第2回年次総会における
シェルドンの原稿
シェルドンは,第2回年次大会は欠席しましたが,「私の宣言」と題する演説原稿が朗読されたところ,感動と拍手の嵐の中で,「He profits
most who serves
best」がロータリーの宣言として採択されたのです。
シェルドンの「私の宣言」の要旨はつぎのようなものです。
「事業の発展は事業主の力量如何にかかっており,それは末永く利益をもたらす顧客を確保する技術を持って,事業を営むことである。その技術の基となるものが販売学であり,それを会得するためには教育が必要である。教育の目的は進取の気性を作り出すことによって,能力,信頼性,持続性,行動力を引き出して,人間の守備範囲を増やすことにある。
人生の成功は,心理的,道徳的,物質的な自然の法則によって支配されており,これらの自然の法則のすべてを調和させる活動こそ,最高の成功を意味する。
人生において,絶対的な権限を持った宇宙の摂理を認識することが必要である。宇宙の摂理を認識することは,ビジネスのいかなる場所においても,He
profits most who serves bestでなければならないことに気が付くのである。
サービスをしたいという願望は,宇宙の摂理を認識できる人間のたどる道であり,利他の心を持って他人の成功を願うことは,自らが成功への道を歩んでいることである。」
He profits most who serves bestの公式の日本語訳は,「最もよく奉仕する者,最も多く報いられる」です。このprofitsについて金銭的利益か精神的な利益かの議論がありますが,シェルドンが,目先の利益第一主義から脱却し,利益の適正配分により,事業の継続的な発展がもたらされることを力説していることから,金銭的な利益であると解釈されています。この言葉は,精神原理ではなく,実践原理なのです。
He profits most who serves bestは,職業奉仕の理念として,ロータリークラブ連合会の第2回年次総会において,満場一致をもって,宣言の結論として決議されたのです。
He profits most who serves bestという職業奉仕の理念が確立されたことから,この理念を具体的に実践するために,1913年のバッファロー大会において,事業上の実践例を募集し,1915年のサンフランシスコ大会において,「道徳律」として決議されました。その後,道徳律の一部が宗教色が強いという理由で使用停止になりましたが,道徳律を制定・実践する会社が出てくるなどの大きな影響力をもっております。