ロータリー財団の歴史
昨年度の石川会長から,ロータリーの組織や用語について,詳細に解説していただいておりました。私のロータリーに関するお話しは,殆ど,前年度の石川会長のお話しと重複しておりますが,本日は,ロータリー財団の歴史についてお話ししたいと思います。
1917年,国際ロータリーは,「世界でよいことをする」ための基金を作るというビジョンを発表し,カンザスシティ・ロータリークラブからの26ドル50セントの寄附金でスタートしました。
その後,1928年に,「ロータリー財団」と正式に命名され,1936年には,世界の問題に対する市民の意識を高める国際理解研究会が世界各地で開催されました。
1947年,ポール・ハリスが,生前,「私の葬儀に花はいらない。それよりもロータリー財団に寄付をしてくれた方がよっぽど嬉しい。」と言っていたことから,ポール・ハリスが亡くなった1年後には約200万ドルの寄付が集まり,その後のロータリー財団の基礎を築くことができたのです
1957年,ポール・ハリス・フェロー認証プログラムが作られ,1978年には,大規模な人道的取組を可能とする「保健,飢餓追放および人間性尊重補助金(3-H)プログラム」が創設され,1979年フィリピンで600万人の児童へのポリオ予防接種活動が開始されました。ロータリーが承認した最初の3-H補助金は,フィリピンでの予防接種用にワクチンを購入することが目的でしたが,同じ頃,天然痘の撲滅に関する記事を読んだクレム・レヌーフ国際ロータリー会長は,数人のロータリー会員および国立衛生研究所の感染病部門責任者だったジョン・セバーに連絡し,伝染病の撲滅にロータリーが取り組めるかどうかを相談したところ,セバーはポリオ撲滅への取り組みを勧めたことが契機でした。このような形で,予防接種を通じてポリオを撲滅する事がロータリーの目標になったのです。
1981年には,特定の寄付を投資し,元金には手をつけずにその収益のみを財団の活動に活用することを目的とした恒久基金を設立し,1985年,ポリオプラス・プログラムが創設されました。この「プラス」とは,当初はポリオワクチンとともに投与されていたほかのワクチンを指していましたが,現在では,ポリオ撲滅の取り組みにより築かれたインフラや資金調達と政策提言のノウハウを他の疾病対策に生かしていくことも意味しています。
2007年,ビル&メリンダ・ゲイツ財団が1億ドルのチャレンジ補助金を授与しました。チャレンジ補助金とは,ロータリーが集めた1億ドルに対し,ビル&メリンダ・ゲイツ財団が同額1億ドルの補助金を上乗せするもので,その2年後,ゲイツ財団は,ロータリーが追加2億ドルを集めることを条件に,2億5,500万ドルをロータリーに授与することを発表したのです。ロータリーとゲイツ財団とのパートナーシップは,世界の人びとの健康を守るために大きく貢献しています。